冷めた紅茶

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「別れましょう」喫茶店でそう切り出したのは君だった。 理由は恋愛感情を抱かなくなったから。よくある恋人同士の話。特に珍しい話じゃない。 でも、彼女が心変わりしたのは、他でもない俺の父親にだった。 出会いは、父親に紹介した日。気恥ずかしさもありながら、俺は両親に彼女を紹介した。母が早くに亡くなった父子家庭に一輪の華が添えられたようで嬉しかったのを覚えている。 その時、高揚とした彼女の顔が忘れられない。 俺は緊張のあまり、彼女が赤くなっているのだと思った。 でもそうじゃなかった。 いつの間にか連絡先を交換し、俺に見破られないように、逢瀬を重ねたそうだ。 俺は、二人に裏切られた。 その事実が俺の心を蝕んでいく。 冷めた紅茶だけが俺の溜飲を飲み込ませた。
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