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☆
星を見る。かつての懐かしい星の名前が刻まれていたけれども、今はもう無い。
多くの神々が上り詰めた星も既に無い。神、英雄、怪物、魂、虫、このような多くの者たちが天に上り飾られた。だが全てそれらは消え、深い海の中へと沈んでいった。
アンドロメダと呼ばれた美女も川となり、ヘラクレスと呼ばれた英雄も塵と消えた、涙を流したかつての女狩人も暗い深海の中へと溺れていった。
目を下ろして、大地を見る。
大地には文明の形があった多くの破片が落ちており、茂る森の中では海水を染み出しており、動物がいるようには思えない。
山の中からは何かの漏れだし、海は海面が下がっている。
可愛そう。
そう思いながらも、僕は大海の中を歩く。
溺れず、沈まず、けど壊れた体で、歩き続ける。
なのに、誰一人として僕と同じ道をもうある穴井と思うと少し悲しく感じてしまう。
あぁ、けれどもう少し歩いてみようかな。
悲しい、苦しい、もう辞めたい。
ぼろぼろの体を引きずりながら、削りながらも、いつか手に持った手紙を誰かに渡そうとして幾万と幾垓を渡り歩き、泳ぎ続け、飛んで行っていた。大きな希望ではなく、小さな希望でもない、ただの願い。もう遠い時の流れで最初に渡された手紙は海の中へ消えていき、二番目の手紙は海へと溺れた。そして最後の手紙は僕に握らされ遠い遠い海の中へと飛んで行った。
それから数年の時が立ち、僕も星の海の泳ぎ続け様々な星々を見てきたんだ。赤い星、青い星、俊い星、遅い星、亡くなった星、何もない星、僕を送り出してくれた彼らの様な文明があった星に機械の星もあった。
いろんな星を見て僕は、出会った彼らに、喜びに嬉しく思い、別れに、悲しみに笑顔で去っていった。僕の手紙が本当に読んでくれるのは一体、どんな人だったんだろう。
手に握った機械の手紙は優しい光を身に纏いながら、僕は広い海を歩き続けた。
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