女護の星

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 すると、星斗欄干たる夜空から煌びやかな輝きを放ちながら流星のように山間(やまあい)の湖の方へ落ちて行く何者かを勘助は目撃した。 「一体何だったんだ今のは?夢のような光景だった・・・」  勘助は正に夢を追っかけるように夢中で光る方へ駆けて行き、湖畔までやって来た。光る物は木の梢に引っ掛けてあった。そこから漂う芳しい香気を嗅ぎながら近づいてみると、背負えるようにリュックのショルダーハーネスみたいなのが付きリュックのバックパネルみたいなのから白い翼が生えた空飛ぶ道具と思われる物と女の召し物と思われる錦の衣であることが分かった。 「ひょっとすると、天女!?」  羽衣じゃないのにそんな気がして未だ嘗てないときめきを感じ、胸躍った勘助は、死ぬ気なぞ忘却してぴちゃぴちゃと水音のする方を見ると、腰まで浸かりながら月明かりに照らされた上半身の肌を曝して水浴びする女の人影を確かに認めた。 「天女だ!そうに違いない!」  独り合点した勘助は、まず空飛ぶ道具と思われる物を取って丸めて腋に抱え込み、錦の衣が掛かった木から少し離れた岩の物陰に隠れて天女と思しき女が来るのを待った。
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