隕石はうけとるまでわからない

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 これまで、この光はどんなことを見てきたのだろうか。  今、この瞬間、どんなことを写しているのだろうか。  キン、としまった静けさの中でぼんやりとそんなことを考えた。 「流星群は、今夜、です」  ミーティングの最後に、プロジェクトリーダーは言葉の一つ一つを確かめるようにゆっくりとそう言った。「知ってます!」ヨシアキくんが笑いながら返すと、みんな緊張した面持ちをちょっと崩していつもみたいに笑った。みんなの笑顔を確認するように画面の向こうでリーダーの視線が動き、大きく頷いた。 「もう一息だ、よろしく」  流星群プロジェクト。  私の参加している研究はそう呼ばれている。  計画が立ち上がったのは私が生まれるずっと前だという。いろんな季節が通り過ぎて、何度も頓挫しかけ、だけど夜の向こうに輝くものの存在を忘れられない誰かが決してあきらめないでバトンをつないできたから今がある。長い間、星の軌道や天候などを観察し続けてきて、今日、ずっと目的にしていた流星群が発生する。  宇宙のことなんて何にも知らなかったけれど、ちゃんと見てみたかった。  なんで? お祭りみたいなもんなんだから気楽に楽しもうよっていうのが大多数の友達の意見で、実際、プロジェクトのメンバーはほとんどがずっと年上の人たち。そんな中で、ヨシアキくんが驚いた顔をして私を見たのを覚えている。きっと私も同じ顔した。唯一の同世代。お互い、なんでこんなところに?と呆れて笑いあった。  
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