0人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
「離してよ!ちょっと、私が何をしたっていうの!」
コンクリートに覆われた四角い部屋。天井付近には小窓があり、月明かりだけが優しく差し込む。重く頑丈な鎖に繋がれた女性は、悲痛な叫びを浮かべる。
そんな彼女にピエロの仮面を被った奇妙な男が、近づき、
「ダメだ、あの石の秘密を知ってしまった以上、君をここから出すわけにも、生きて返すこともできない。ましてや君は、アナウンサーだ。情報を拡散する力は、いくらで持っている」
その言葉に対し彼女は、
「え、私そんなこと絶対しないよ!だってあの石も10年前にたまたま、本当にたまたま、公園で拾っただけなんだって!信じてよ!」
「貴咲楓華よ、その理屈は通らん、貴様の事は既に調査済みだ、お前は絶対に我々・・・な!!!」
楓華は、仮面男のが話してる途中に、鎖を外し、顔面に攻撃を仕掛けていた。
「自慢げに話す所に、隙が生まれるんです~」
小バカにすものの言い方、そして明るい声で、得意げに話す楓華。
その時、重いコンクリートの壁が悲鳴の様な金属の摩擦音と共鳴すると同時に扉が開いた。
「楓華、いけるか?」
「ナイスタイミングだよ、猫様!」
これ以上ない明るい笑顔と、彼の登場を待ちわびていた楓華は、軽い足取りで走り出す。
二人は、狭くて、湿気の多い陰湿な暗い廊下を駆け抜けていく。猫と呼ばれる男性は走りながら、楓華に尋ねる。
「実際、どうする?このままじゃ結局、じり貧で負けちゃう、俺たちは全滅だ!」
「私ね、思いついた事があるの!」
「何を?」
「どうせだったら・・・!?」
会話する2人の間に、先ほどのピエロが自分の部下らしき兵隊を連れて現れた。数の多さと、何とか笑顔を保っている楓華も、流石に疲れが現れ笑顔が消える。
筋肉質で窮屈そうな男どもが、華奢な楓華と、いかにもがり勉っぽい猫に詰め寄る。
最初のコメントを投稿しよう!