花屋2

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花屋2

 めんどくさい。けどやらなあかん。  ジャンケンに負けてしもた僕が悪い。どんまい僕。  結婚した教師のお祝い用のお花を取りに花屋に来たけど、男が一人で花屋に入るのってなんか勇気いるなぁ。はぁ。  とりあえずとっとと用事済ませて帰ろう。  なんか微妙に嫌な予感するし。 「すみませーん」  店に入ると店員が全員青ざめていて「やべぇ奴来た……」「あれなんだ……」「お相手は可哀そうに」と口々に話していた。  一体なんや?と首をかしげながら入店すると「これはいいな! よしこれを頂こう!」とめっちゃ聞き覚えのある声が聞こえた。  ハッハッハー……嘘やろ?  回れ右してムッチャ帰りたい。でもそれができんのよなー……  やって、僕はクラス全員で注文した花を取りにきたんやから。 「さて私はこれで失礼……むむ!?」  ああやばい。目があってしもた。  嫌やなぁ、なんで僕こうなんやろうなぁ。  今年絶対厄年やって。 「惹音(にゃおん)きゅんではないかー!」  うわぁ、ピンクの花束持ってるせいかなんかピンクのハート舞ってるように見えんねんけど。  うわぁ。  ちょっと店員さんらも憐れんだ視線送らんと助けてもらえませんかね?  いや、関わりたくないか。そらそうや。  僕やってこんな人見たら遠くから見てるだけがいい。
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