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「さぁ、私からの愛のプレゼントだ!」
「いりません」
差し出されたんはピンクのハナミズキの花束。即答したけどめっちゃぐいぐい押し付けられる。
マジでいらんから。
確かこれの花言葉、想いを受け取ってくれ、とかやなかったっけ?
うわぁ……ぴったり。確かに一方通行の愛。
……あ、いーこと思いついた。
「店員さん」
「あ、は、はい!」
「黄色いチューリップってありますか?」
「黄色……? ……あ! なるほどわかりました!」
察してくれた店員さんはすぐに「こちらをどうぞ」て一輪持ってきてくれた。
「ありがとうございます」
流石花屋さん、話が早い。さて……
「……愛染さん」
「おお! 初めて私の名前を呼んでくれ――ブフッ」
喜ぶ顔面に思いっきりチューリップの球根部分を叩きつけた。結構手応えあったし痛そうな音がした。
すまんなチューリップの根っこ、犠牲になってくれ。
「それ、僕からのプレゼントです。是非、花言葉を調べてくださいね? ……そして二度と近寄らんといてくれ筋肉マン」
最後に渾身の本心を込めて、目的の花を受け取って僕はその場を後にした。
愛染さんが「やっぱり私の惹音きゅんはツンデレさん……可愛いなぁ」と恐ろしいほど鼻をのばしていたのを店員さんが笑いを必死にこらえて見つめていたそうな。
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※黄色いチューリップの花言葉
→望みのない恋
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