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コンビニ
「げ」
足を踏み入れた瞬間聞こえたのは愛らしい声だった。
「いやまぁ、うん、予想はしてましたよ、うん。コンビニやもんここ。しかもジムに近いし。今まで会わんかった方が奇跡よな、うん。……はぁぁぁぁぁぁ」
早口で悲しそうに独り言をつぶやき盛大にため息をつく姿も愛らしい。
可愛すぎるぞ君。是非ぎゅっと抱きしめt「お客様、店員に手を出すのならば警察を呼ばせていただきます」
……可笑しいな。
私はただ抱きしめたいと思って近づいただけなんだがな。
む? いつの間に私は両手を大きく広げていたのだ?
ふむ、気持ちが逸ってしまったのだな。
興奮筋肉コントロールがまだまだ甘いな。
いや、愛の筋肉と言おうか。
うむ、良い名前だ。
折角なのでアピールしよう!
「ラーブマッスル!!」
「警察に通報する電話ってどれでしたっけ」
おおおおおおう!
華麗なスルー!
いいぞぉ、君のその冷酷な愛が私の筋肉を興奮させる!
さぁほら見てくれ私の愛の筋肉を!
「次でお待ちのお客様こちらにどうぞー。すみませんこの筋肉は是非無視してくださいませー!」
キャアアアアアアアアア!
可愛い惹音きゅんが敬語を喋っているぞおお!
可愛いぞおおおお!!
礼儀正しいぞおおおお!!!
「フォーリンラブぶへぇ!」
ああしまった。
勢いあまって近づきすぎてしまった。
買い物かごが顔にめり込んで地味に痛いぞ惹音きゅん。
最早これは愛の痛みと呼んでいいかもしれないな。うむ。
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