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「眼鏡もよく似合う。あの可愛らしい笑顔は目に入れてもいたくないぞ」
「いいや。目にいれるのではなく腕の中にずっと入れておきたい。きっとあの可愛らしい頭はいい匂いがする。いつも漂う汗のにおいがこれまたたまらんのだ」
「ああよくわかるぞ。この間一滴舐めさせてくれとお願いしたが断られた。さりげなく舐めようとしたが無念」
「……愛染。お前、愛に溺れるのはいいが、人の道理から外れるなよ?」
「何を言う。私はただの人ではないぞ。筋肉を愛し我が愛しの人をどこまでも愛し続ける愛の筋肉だ!」
私がサイドチェストをばっちり決めていると「ところで」と好田剥蔵が口を挟んだ。
「で、どんな娘なんだ?」
「猫毛で」
「常に冷静沈着で」
「関西弁で」
「眼鏡をかけていて」
「低音が男らしいが可愛くて」
「笑顔は花が咲いたようだ」
私と賀泰善で交互に言っていると、好田剥蔵は「じゃあ」と私の真後ろを指さした。
「あんな感じの子?」
私は振り向いた。
そして、見覚えのある後ろ姿に私の視界はバラの花で満たされる。
ああ、見間違うことなどない。
あれは……あれは……!
「キャアアアアアアにゃおんきゅんっっ本物おおおお!」
「うわぁ、偽物と取り換えれへんかなぁ」
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