カフェ<前編>

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「眼鏡もよく似合う。あの可愛らしい笑顔は目に入れてもいたくないぞ」 「いいや。目にいれるのではなく腕の中にずっと入れておきたい。きっとあの可愛らしい頭はいい匂いがする。いつも漂う汗のにおいがこれまたたまらんのだ」 「ああよくわかるぞ。この間一滴舐めさせてくれとお願いしたが断られた。さりげなく舐めようとしたが無念」 「……愛染。お前、愛に溺れるのはいいが、人の道理から外れるなよ?」 「何を言う。私はただの人ではないぞ。筋肉を愛し我が愛しの人をどこまでも愛し続ける愛の筋肉だ!」  私がサイドチェストをばっちり決めていると「ところで」と好田剥蔵(すきだ むきぞう)が口を挟んだ。 「で、どんな()なんだ?」 「猫毛で」 「常に冷静沈着で」 「関西弁で」 「眼鏡をかけていて」 「低音が男らしいが可愛くて」 「笑顔は花が咲いたようだ」  私と賀泰善(がたい よし)で交互に言っていると、好田剥蔵(すきだ むきぞう)は「じゃあ」と私の真後ろを指さした。 「あんな感じの子?」  私は振り向いた。  そして、見覚えのある後ろ姿に私の視界はバラの花で満たされる。  ああ、見間違うことなどない。  あれは……あれは……! 「キャアアアアアアにゃおんきゅんっっ本物おおおお!」 「うわぁ、偽物と取り換えれへんかなぁ」
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