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UFOキャッチャー
あれから何度か眼鏡ショップに訪れたが惹音きゅんに会うことはなかった。
なんてことだ……なんてことだ……
会いたい。こんなにも会いたいのに。
神様はなんて悪戯なのだろうか。
もう会わなくて一週間。
私は早くあの可愛らしい笑顔に会いたい。
抱きしめたい。
抱っこしたい。
ぎゅってしたい。
あわよくば抱き枕にして猫毛頭に顔をうずめて匂いを堪能したい。
どんな匂いがするのだろう。
早く嗅ぎたい。
「どこに……どこにいるんだ……惹音きゅん……」
そう思いながらフラフラと町通りを歩いている時だった。
ゲームセンターの前に設置してあるUFOキャッチャーが目に入った。
焦げ茶色猫毛眼鏡の学生服人形がいた。
「惹音きゅん……!」
まさか私の為としか思えない素敵なぬいぐるみがあったとは。
ガラス面にかじりつき中をよく見ると、どうやらラスト一個の様だ。
これはゲットしなければならない。
神様がくれた惹音きゅんと一緒に寝れる夢を叶えるチャンスに間違いないのだから。
すぐさま五百円を突っ込んだ。
アームが惹音きゅんをキャッチするが、上まで持ち上げて――一ミリ動いただけて落ちた。
「うわぁぁぁああ! 筋肉が足りてないぞアームくぅうううんん!」
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