21人が本棚に入れています
本棚に追加
カフェ<後編>
スプーンを咥えて訝し気な目を投げてくる惹音くんの可愛いこと可愛いこと
私はそのスプーンになりたい
そして君と一つに……
「気色悪い」
ありがとう、私も大好きだ。
いやいやそれよりも、私はとんでもないことに気づいたぞ。
好田剥蔵(すきだ むきぞう)の言葉を私は頭の中で反芻する。
男の娘
そうか、そうだったのか。
だから私は男だとわかっていながら惹かれたのだ。
そう、彼が男の中の男の娘だったからなのだ!
「ちょっと何言ってるかわかりません」
む、どうやら全て声に出ていたらしい。
なんてことだ。愛とは心の声も駄々洩れになってしまうのか。
そういえば数多の視線が刺さると思っていたのだ。
愛の深い筋肉とはなんと罪深いものだろうか。
「はやくお勘定お勘定! 早く店員さああああん!」
むむ?
何やらにゃおんきゅんが財布を開いて地団太しているぞ。
にしてもいつの間に目の前にいるのだ?
ああそうか、強い愛は強い磁力で惹かれ合うというものだ。
つまり愛が強いが故に気づけば近くになってしまうのだな。
最初のコメントを投稿しよう!