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こいつ中々演技の才能あるな。
プリクラの箱から出ようとしたらちょっとした段差につまずいた。
コケはせんかったが、見た目の為に動きにくいヒラッヒラのスカート着てる傑は足元が見えにくくてつまずくやろう。
やから僕は「そこ段差やし気ぃつけてな」と傑に手を伸ばした。
そっと握り返して「ありがと……」と俯き加減で答える傑。
お、この状況割とカップルっぽいんちゃう?
なんか一人前の男になった気分で僕が愉悦に浸っていると――少し目を潤ませた傑の目と合った。
ようわからんけどこれも女の子らしい演技かな?
こいつにこんな演技の才能あるとは。新たな発見やわ。
僕はとにかく笑い返したらそれっぽくなるやろうと思て精一杯の優しい笑顔を浮かべてみた。
どや、僕も中々のもんやろ。
そしたらコイツ、とんでもないこと言いだしおった。
「マジで恋人になる?」
真顔でそう言った傑に僕の表情は石になってたんとちゃうやろか。
「お前も頭を筋肉でやられたか」
「だってお前めっちゃええ顔するんやもん! なんか好き!」
ああ神様。
僕は普通の恋をしたいです。
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