買い物2

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 こいつ中々演技の才能あるな。  プリクラの箱から出ようとしたらちょっとした段差につまずいた。  コケはせんかったが、見た目の為に動きにくいヒラッヒラのスカート着てる傑は足元が見えにくくてつまずくやろう。  やから僕は「そこ段差やし気ぃつけてな」と傑に手を伸ばした。  そっと握り返して「ありがと……」と俯き加減で答える傑。  お、この状況割とカップルっぽいんちゃう?  なんか一人前の男になった気分で僕が愉悦に浸っていると――少し目を潤ませた傑の目と合った。  ようわからんけどこれも女の子らしい演技かな?  こいつにこんな演技の才能あるとは。新たな発見やわ。  僕はとにかく笑い返したらそれっぽくなるやろうと(おも)て精一杯の優しい笑顔を浮かべてみた。  どや、僕も中々のもんやろ。  そしたらコイツ、とんでもないこと言いだしおった。 「マジで恋人になる?」  真顔でそう言った傑に僕の表情は石になってたんとちゃうやろか。 「お前も頭を筋肉でやられたか」 「だってお前めっちゃええ顔するんやもん! なんか好き!」  ああ神様。  僕は普通の恋をしたいです。
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