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「私を変態と知ってただなんて……やっぱり私と貴方、運命の糸で紡がれているのね、ウフ、ウフフフ」
貞子のように前髪を垂らした白色ワンピースの女性は、ゆぅらりと立ち上がる。
普通にホラーな見た目や。
草や枝がぼうぼうに生えた茂みから出てきたせいで腕とか頬とかに血の跡があるからなんかガチ感漂ってるマジなホラー映像のようやった。
「す、すみませんでしたぁ!」
こういう時は逃げるが勝ちや。
すぐに僕は背を向けて走り出したけど女の人は気づいたら横に居て「もう、照れ屋さん」とツンっと僕の頬をつついてきた。
……え?
いや待って?
僕全力で走ってるで?
50メートル走7秒台になったんやで?
なんでそんな僕に余裕たっぷりでついてこれるん?
「はいタッチ。つーかまーえた」
あ、これあかん。
ガッチリ手首掴まれた。
なんか体の震えが止まらん。
逃げれん。やばい。
どうしたらいい、どうしたら――
もうこの女の人から逃げれんと悟って僕が諦めかけた時やった。
いつもならげんなりするのに、この時ばかりは天の助けのような声が後方から響いた。
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