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「会話が成り立たへんぐらいやからやっぱりもう一回通報の方がええかな?」
「おおおおお! つまり警察に仲人を頼み私たちの結婚式をしてもらうのだな! よしじゃあ日取りは」
「いっぺん黙れ」
全く会話のかみ合わへん筋肉ダルマに向かって近くにあった景品見本用のバスタオルを頭からかぶせてやった。もがもがしながらジタバタし始めたので今の内と傑の腕をひっつかみ「よし、逃げるぞ」と急かした。
「はーい。あ、お兄さん面白いからこれあげる」
走ろうとしたその瞬間、傑がなんか渡した。
あの狂気の筋肉マンに。
ひったくりたかったが「にゃーおーんーきゅぅぅん」という地獄の底から這いあがってくるような恐ろしい声が聞こえたので逃げることを優先した。
その場から全速力である程度離れてから、何を渡したのか、嫌な予感がしながらも聞いてみることにした。
「何渡したん?」
振り返って見た、傑の表情はいい笑顔だった。
「俺の連絡先と一緒に『お兄さん面白いので仲良くしましょう! 対価に惹音きゅんの可愛い写真上げるね』てメモ渡してきた」
「……嘘やろ?」
「マジです」
いい笑顔の友人に僕は言葉を失った。
そうや、コイツそういう奴やった。
おもろそうなことに何でも首突っ込んで、めっちゃ迷惑かけてくる最低最悪な奴やった。
…………
…………
僕の味方……どこぉ?
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