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ジム
今、私がなにをしているかって?
答えは“愛のかくれんぼ”だ。
ゲームセンターでタオルを私に被せてかくれんぼした惹音きゅんに「みーつけた」と後ろからハグするために、私は今、柱の陰に隠れて彼の登場を待っている。
……いや、待てよ。
驚かすのもありか。
その角から出てきた瞬間「サプラーイズ♪」と両手を広げれば「び、びっくりしたやんかぁ」と私の胸に飛び込んできてくれるはず。
ん?
何故、惹音きゅんが出てくる場所を知っているかって?
ワッハッハッハッハ
そんなの決まってるじゃないか!
愛のセンサーが働いたのだよ☆
愛に不可能などないのだ。
まぁ、まさか私のテリトリーに自ら来てくれるとはなぁ、やはり両思い。惹音きゅんはツンデレだったのだな。可愛いなぁ。
お、よし。
そろそろ来そうだ。
ほら、可愛い焦げ茶の猫毛がぴょこっと出てき――おっとなんだあの可愛い顔はとっても嬉しそうに微笑みながら紙を眺めているぞ何を眺めているんだ?ああわかったぞあれは私と惹音きゅんの婚姻届ということだつまり私とずっと一緒にいれる喜びであの笑みを浮かべているということかなるほどそういうことかなんて可愛いんだあああ愛してる愛してる大好きだ惹音きゅん
「一生大事にするよ……」
ああしまった。
思いが募るあまり呟きながら出てきてしまった。
でも驚かせには成功したようだ。
よかったよかった。
硬直した表情も可愛いよ。
「……はぁ? ……はぁ!? なんで? なんでおるんやぁああああ!?」
なんでって惹音きゅん。
ここは私と君のお城だよ?
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