13人が本棚に入れています
本棚に追加
「それもあるけど。収入は通常増えます。時給ではなく月単金になるので。保険は心配いらない。この業界だけの制度があるから。内部の病院なら一割負担。それ以外は領収書で七割戻ってきます」
「年金は」
「ご自身で国民年金に成るけど。入る人は殆ど居ないわ」
「どうしてでしょう」
「それも最初に言った事よ。貴方の価値観は受け入れられない街だって。此処では誰も年金制度に賛成してないのよ」
「そうですか」
松尾由美は大きな不安を抱いた。それでも北嶋コンサルの協力会社工場で働いて当面の生活を確保するよりなかった。
引っ越しも総てグループ企業が行う。費用も請求されない。
だが松尾由美の引越しだけは調教師集団の一員隅田会系大船一家の稲垣七郎配下が行った。
言い方は優しいが怖い人がやんわり動く。そんな印象を拭えなかった。
だがここでもう一つ松尾由美を苦しめる事態が発生した。
敷金が戻って来ると期待していた。それが清掃費を差し引いて子供による破損なども含めて請求が出された。
プロパンガスだったのでガス会社から退去時に一括精算も求められた。
最初のコメントを投稿しよう!