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所持金が少ない。ここでそれを払ってしまえばいくら日払いが有っても行き詰まる。
「あんた大丈夫。足りなきゃ俺立て替えて北嶋社長に請求するよ」
「でもそれじゃ」
「心配いらないよ。北嶋社長分割で納得してくれるよ。今までダメなんて言った事ないから」
「えー。・・・」
「心配要らないって。あんた北嶋社長に拾われた様なものだよ。面倒見てもらって大丈夫だよ。でなきゃ普通はこの形はないよ」
「申し訳ありません」
「駄目だったら。俺に分割で返して貰ってもいいから。駄目と言う事はこれまでも無かったけどね」
「申し訳ございません。大変ありがとうございます」
プロパンガス代が二か月弱で三万少々。修繕費の不足分が敷金を差し引いても五万。今の松尾由美には痛い金額であった。既に所持金は三万少々であった。
この場は丁寧に謝って逃れる。しかし先に来る不安を感じ取れないわけではなかった。
引っ越し荷物を女性スタッフが丁寧に梱包する。だが内容や志向性を逐一チェックしている。
下層階のワンDKと雖も今までに比べて建物そのものの質が良い。
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