ドルフィンノーズ、緊急救助活動準備

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ドルフィンノーズ、緊急救助活動準備

「発火開始、4・3・2・1・FIRE(ファイヤー)」  柚子奈のアナウンスと共に、轟音が鳴り響き、試験場のダミー山林が瞬く間に火の海と化した。  ドルフィンノーズは走り出し、山林に向けて、消火活動を始める。  放水ではなく、圧縮窒素を散布する。空気の酸素濃度を一気に下げることで、可燃物の燃焼を消すことが可能だ。酸素濃度を15%に維持することで、仮に人がいたとしても窒息することはない。  大気中元素分布をAIがリアルタイム分析して、最適化を行う。 「ドル、要救助者はいる?」 「確認します、人体センサーオン……燃焼温度が高すぎるため機能しません、いかがいたしましょう?」 「移動体センサーに切り替えて、動く物体がないか確認して」 「Roger(ラジャー) That(ザット)(了解)、センサー切り替え……移動体存在しません、このまま消火活動を進めます」 「火災規模の確認とコミュニケーターとの連携を行って」 「Roger That、観測ドローン散布」  ドルフィンノーズの背後ハッチが開くと、5体の小型ドローンが上空高く、舞い上がっていった。 「ドルフィン1、異常なし、災害マップデータ転送。送ったよ」 「ドルフィン2、異常なし、災害マップデータ転送。こちらも完了~」  サークルフィンを呼ばれる、姿勢制御を行う飛行装置を装備したドローンだ。それぞれのドローンにコンパクトAIが装備されており、それぞれの意志で自由に飛び回る。  次々と観測ドローンから火災状況のリアルタイムデータが、オペレーションルームに届き、全方位ディスプレイにマッピングされた。 「調子はどう、うまくいっているかしら」 「毬音(まりね)主査、ええ、今のところ順調です」  コーヒーを片手に毬音主査が声をかけてきた。
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