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「これから色々トレーニングを始めるけど、まずは知らないことがたくさんあるだろうから、講義から始めることになるわ。セミナールームに行きましょう、講師を紹介するわ」
歩きながら、気になることを聞いてみた。
「あのピアスフォンて、すごい機能が付いていて便利そうなんだけど、なんで一般に出回ってないんですか? 脳波とか使ってますよね」
「さすが、辰上さんところの息子さんね。勘がいいわ」
「うん、気配でわかるんです、合気道やっているとそういうの、鋭くなるので」
「脳波でコミュニケーションを取る……それはまだ人類が経験したことのない領域。私達RESCUE NUMBERは訓練を受けて、その対応を理解しているから問題ないけど、一般人が使用した際、どんな問題が起きるかは未知数。倫理的問題がまだ解決できていないから、世の中に出るのは、まだ先の話ね。人間の憎しみ、悲しみ、イメージとかダイレクトに伝わってしまうと色々大変なことになるでしょ?」
「あぁ、それはそうです。ただ技術があればいいってことじゃないんですね」
「そう、その結果、何が起こるのかを考えたうえで利用しないといけない。それが過去の失敗。私達RESCUE NUMBERは、その過去の失敗の結果、生まれた特殊災害に対抗するために生まれた組織」
「わかりました、ところで講師ってどんな人なんですか?」
「そうねえ、あなたと同じ高校生よ」
「え? 俺以外にも高校生で働いている奴がいるんですか?」
「会ってみれば、わかるわ」
まもなくすると、セミナールームに到着した。
ドアを開くと、そこには学生服を着た一人の女子学生が立っていた。
「彼女があなたの講師さんよ」
モナ所長は、ほくそ笑みながら、そう語った。
紫色の長髪、頭にアホ毛? がピンと立っていた。
ペコリとお辞儀をすると、自己紹介があった。
「出逢蒔奈、17才、高校生です。よろしくね」
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