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「機械任せにしたが故に、目の前にあった救える命が救えなかったということ?」
「そうです、とても悲しい事故でした。機械体が悪いわけではありません、消火活動を行う事が、仕事だったからです。一番大切な人命救助という人工倫理―AE(Artificial Ethics)が欠如していました。それを機会に、機械だけに任せておいてはいけないという議論に発展し、全面的な見直しを行うことになりました。その結果、完成したのが半自立制御機械体、人と機械が意識共有を行い、協力しながら、災害防止にあたることになりました」
「それが今本格稼働するところってことか」
「そうです、そしてあなたは機鋼操縦隊員に任命されました。頑張ってね」
マキナが両手をグーにして、ファイト!のポーズをした。
「親父が機鋼操縦隊員の同調率が、機械体のパフォーマンスに大きく関わるって言っていたけど、どういうこと?」
「半自立制御機械体には、様々な防兵器が装備されています。この防兵器は、攻撃のために開発されたものではなく、防御を目的として開発されたもの。量子波動エネルギーを使うことで、現実を超越した能力は発揮します。しかし、この装備の能力を十分に引き出すには、微細な量子波動操作が必要となります。簡単に言うと、リズムを合わせることで、最大のパフォーマンスを出すことができるっていうこと。ダンスや音楽と同じよ。楽器だけあっても、腕がないと音楽は奏でられないってことね」
「その能力が、俺にはあるのか」
「そういうことになるわね。私は歌は苦手だけど、ダンスは得意よ」
ルンルンしながら、軽く踊り出すマキナ。
「それじゃ、RESCUE NUMBERの事が大体わかったところで、トレーニングエリアの見学でもしましょうか」
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