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しばらくすると、渦はおさまり、静かな波を打つプールに戻った。
女性が泳ぎながら、こちらに近づき、プールの淵まで来ると、ザァっという音とともに、這い上がってきた。
グラマラスなボディーに密着する競泳用の水着、したたる水滴。
濡れる長髪を右手で搔き上げながら、俺のほうに視線を向けてきた。
俺は……目のやり場に困った。女子に興味ないとか言ってるが、これでも一応育ち盛りの男子ではある。
「あら、マキナちゃん、その子は誰かしら?」
マキナはタオルを手に取ると、その女性に渡しながら、話しかけた。
「はい、ご紹介します。RESCUE NUMBER 01の機鋼操縦隊員に配属された辰上巧君、16才です」
「あぁ、辰上さんの息子さんね。ふふ、まだ若いのね」
俺の視線に気づいたのだろうか? 胸元を強調しながら、歩み寄ってきた。
「私は巳島洋華、よろしくね」
そう言うと、俺のことをぎゅっと抱きしめてきた。
「うわ、ちょ、ちょっと何するんです? 濡れちゃいますよ」
「あら、ごめんなさい~、だって可愛いんだもん」
クスクス笑いながら、からかわれた。
俺は恥ずかしさで真っ赤になって、マキナに視線を移したが、マキナは「ハイ?」っと、平然とした笑顔を向けていた。
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