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 側近八名は二手に分かれ、それぞれ調査を開始した。陽世(ひのよ)の者達は、これまで陽世から出たことがなく、また陽世以外の世界も知らない。どちらの調査も、全くゼロからのスタートであった。  それでも側近達は、その一億年培った叡智を駆使し、陽世を救うべく寝る間を惜しんで使命に尽力した。  太陽神様がお眠りになって五日が過ぎた頃、陽世民(ひのよのたみ)達からたいへんな情報が舞い込んだ。  なんと、陰世の一派と見られる者達が、突如陽世に攻め込んできたと言うのだ。  民達はパニックになって逃げ回りながら、手当たり次第に物を投げつけて、無我夢中になっている間にどうにか陰世の者達を追い払った。  このことはすぐに日奈神子達にも送念されてきて、一同はたいそう動揺した。  陰世の者達は、すでに陽世へ出入りする方法を突き止めている。こちらよりも進んでいるではないか!  このままでは、陽世が陰世の手に落ちる時もそう遠くはないかもしれない。 「ええい、怖じ気づいている場合ではありませぬ。とにかく陰世への入口を突き止めるのです。光は……光のほうはどうですか?」 「日奈神子様、先ほど光る星が見つかりました。今、その持ち主と交信を図ろうとしているところです」 「よくやりました! まずはそちらから成功させましょう。それから、次に陰世の者達が攻めてきたときは、必ずその退路を突き止めるようにと、民達に送念を!」 「ははっ」  
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