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そうは言っても、一度考えると是が非でも実行してみたくなる性分の太陽神様、日奈神子につっけんどんにされたくらいで、長期間睡眠を諦められない。
太陽神様は手始めに、翌朝目が覚めても、しばらく寝床にお居座りなさった。
「いかがなさいましたか、太陽神様。お体の具合でも?」
日奈神子が様子を見に来たが、太陽神様は寝たふりを決め込んで黙っていらっしゃる。しかし、ちょっと待てよ、と。これでは眠っていることにはならない。我が求めているのはこれではないぞと、思い直して体を起こされた。
「顔浴のご用意ができましたよ。さあ、こちらへ」
「そう上手くはゆかぬものだな」
「なんですか?」
日奈神子は、太陽神様の寝たふり作戦に気づいてすらいなかった。
太陽神様のお住まいである太陽神殿は、白くて巨大な石造りの御殿だ。周囲に光を遮るものは何もなく、日がな一日日が当たる。屋根には金を基調としたきらびやかな装飾が施されており、日の光を受けてキラキラと輝きを放つ。
正面の太陽モニュメントは芸術神が七年かけて仕上げた大作。陽世民達の一大観光スポットとなっていて、「なんか元気になる」と専らの評判だ。
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