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太陽神様は、時折気の向くままにそのモニュメントのところへ出向かれ、観光客にあいさつをされる。
「やあやあ、よく眠れているかい、皆の衆よ」
その日は長期間睡眠のことを考えすぎていたあまり、つい眠りについて口走ってしまわれた。
この様子はあっという間に陽世中に送念された。
「太陽神様、眠りを語る!」
「不吉!? 眠りを気にかける太陽神様!」
「日の象徴、闇にご関心!?」
何気なく発された言葉が、そんな文句とともに世に広まってしまい、太陽神様は日奈神子にこってり絞られなさった。
「太陽神様、民のイメージというものがありますから、言動にはお気をつけあそばしませ。眠りは闇を連想させます。民はあなた様が思っておられるよりも、闇要素に敏感なのですよ。実際にはいくらあなた様が眠りを語ろうとも闇を語ろうとも何も起こりませんけども、民にとってそういうことは関係ないのです」
「すまぬすまぬ。そんなつもりではなかったのだよ」
「いったいなぜそのような事を仰ったのですか?」
日奈神子は、太陽神様が長期間睡眠の話をしていたことなどすっかり忘れているようだ。
「いや、特に深い意味はない」
太陽神様はごまかされた。
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