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 正波仁を自室にお連れになった太陽神様は、日奈神子に聞かれぬようにと、ひっそり話された。 「正波仁よ。我は毎日必ず日の出とともに起き、日の入とともに眠る。汝も知っておるな?」 「は、存じ上げております」 「しかし我は、一度こころゆくまで眠ってみたいのだ。日が昇ろうとお構いなしで眠り続けてみたいのだ」 「なるほど、なるほど」 「汝、なんぞ陽術でもかけて、我をこころゆくまで熟睡させてはくれぬか?」 「お安いことでございます」  太陽神様はたいそうお喜びになり、正波仁の肩をさすりながらご機嫌な様子でお笑いになった。  それを遠目に見ていた日奈神子は、あの笑顔は何かよからぬことを企んでおいでだな、と思い、警戒していたが、ことが起こる前にお咎めしても無駄であろうと、大人しく見守ることにした。  太陽神様はおもむろに王冠を外し、マントを脱いで胸元の装飾品も外すと、寝台に上がられた。そして正波仁と二言三言交わされてから、ゆっくりと体を横たえなさった。  続いて正波仁が太陽神様に手をかざし、陽術を始めた。  やはりどこか具合がお悪かったのだろうかと、心配しながら見ていると、――その光景は突如日奈神子の視界から消えた!  
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