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「はっ……」
正波仁は、すやすやと眠る太陽神様に再び手をかざし、今の術を解こうと念を送った。しかしどうにも手応えがない。
「おかしい……、どうやら何かしらの力が働いて、私の念を相殺しているように感じます」
「いったい何が邪魔をしているというのだ」
「わかりません……。光が消えたことと何か関係があるのでは」
「光が消えたのは、おそらく太陽神様がお眠りになったからだ。……だが、それでは日はどこへ消えたのだ? 見えぬだけでまだこの上空にあるのか、あるいは……」
「陰世へ吸い込まれたのでは……?」
陰世。それは陽世と対をなす世界。
太陽神様が司る陽世に対し、陰世を司るのは暗黒神様だ。
他の神々や日奈神子のような神仕えの徒を含む陽世民達は、暗黒神様と疎通を図ることはできない。同等の位にある太陽神様のみが、暗黒神様と交念できるのだ。
だが、太陽神様はこのとおり、すやすやと寝息を立てていらっしゃる。
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