4/6
前へ
/33ページ
次へ
「はっ……」  正波仁は、すやすやと眠る太陽神様に再び手をかざし、今の術を解こうと念を送った。しかしどうにも手応えがない。 「おかしい……、どうやら何かしらの力が働いて、私の念を相殺しているように感じます」 「いったい何が邪魔をしているというのだ」 「わかりません……。光が消えたことと何か関係があるのでは」 「光が消えたのは、おそらく太陽神様がお眠りになったからだ。……だが、それでは日はどこへ消えたのだ? 見えぬだけでまだこの上空にあるのか、あるいは……」 「陰世(かげよ)へ吸い込まれたのでは……?」  陰世。それは陽世(ひのよ)と対をなす世界。  太陽神様が司る陽世に対し、陰世を司るのは暗黒神(あんこくしん)様だ。  他の神々や日奈神子のような神仕(かみづか)えの徒を含む陽世民(ひのよのたみ)達は、暗黒神様と疎通を図ることはできない。同等の位にある太陽神様のみが、暗黒神様と交念できるのだ。  だが、太陽神様はこのとおり、すやすやと寝息を立てていらっしゃる。  
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加