滲んだ景色

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滲んだ景色

バケツの水をこぼした犯人はついに見つからなかった。 文化祭で使用する大きな絵。 水で滲み台無しになったそれを横目に皆が僕を指差すことでこの件は収束してしまった。 あの出来事を皆もう覚えていないだろう。 もしくは思い出などという言葉で美化し、笑いあったり懐かしんだりするかもしれない。 僕は覚えている 僕に向けられた表情も 言葉も 己の感情も 覚えている 何年経っても未だに消えはしない あの日と同じ、滲んだ景色のまま 『滲んだ景色』
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