夏の記憶

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(ここはどこだ?) 景色は青空広がるどこかの山奥。 周りから聞こえるセミの鳴き声から夏であることが伺える。 (ここ知ってる) 正確に言えば来たことがあるだ。 小学生の頃、父方のおばあちゃんの家に夏休みの間遊びに行くのが毎年恒例の行事だった。 都会育ちだった俺は自然いっぱいのこの土地が大好きだった。 朝は山でカブトやクワガタを採り、昼は川で遊び、夜は縁側でおばあちゃん家で育てているスイカを食べながら庭を飛び回る蛍を見ていた。 (懐かしいな・・・) 中学生になった頃から部活と勉強に追われて夏休みにこの土地に来ることは無くなってしまった。 その内おばあちゃんは体調を崩し他界。家は誰も管理できないことから売り家に出されてそこからどうなったのか分からない。 そんな記憶の一ページが思い出された時どこからともなく子供の声が聞こえた。 「父さん!!はやくはやくー!」 「走ると危ないぞ?川は逃げないから大丈夫だ。」 元気に走り回る子供と息切れしながらも必死に追いかける男性。 (あれは親父と俺か?) 見間違うはずもないそこに居たのは幼少期の俺と若かりし親父の姿だった。 「川にいる魚は逃げちゃうもん!!」 そう言うとこちらに向かって走ってくる。 (あぶね!?) 避けようとしたが間に合わず激突した… かに思えたが当たる直前俺のことをすり抜けて走り去ってしまった。 「待てって!?」 親父も俺が見えないのかそのまま横を通り過ぎていく。 どうやら今の俺は思念体のようなものでただこの景色を眺めることしか出来ないようだ。 (これは夢なのか?) なんとも不思議な感じだ。 次の瞬間場面が変わった。
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