夏の記憶

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周りは夜になり目の前にはおばあちゃんの家の縁側がある。 そこに両親と子供の俺が腰掛けてスイカを食べながら庭の蛍を見ていた。 (懐かしいな・・・) おばあちゃんの作ったスイカはみずみずしくて甘さも程よくスーパーに売ってるものとは全く違った。 俺はこのスイカを食べながら見る蛍が一番好きだった。 ズキッ (痛!?) 突如頭痛に襲われる。 (夢なのに痛覚が??) ほんの一瞬のことで少し焦ったが今はなんともない。 (これが本当に一番だったか?何か忘れていないか?) 大事なものを忘れている・・・そんな気がしてならなかった。 ここでまた場面が変わった。 景色は昼間の川の近く。 俺と親父は竿を持っているのでどうやら川釣りの途中らしい。 「釣れないねー。」 「だな。」 釣果はどうやら坊主のようで暇そうに竿を上げ下げしながら食いつきを待っているようだ。 「そうだ。あれって今日??」 「あれってなんだ?」 俺の質問に親父が答える。 (あれ?なんかあったか?) 「ほらあれだよ!流星群!!」 (あ!?思い出した!!!ラルフ流星群だ。) ラルフ流星群はこの土地で見られる不思議な流星群で毎年同じ日に同じ時間に見ることが出来る有名な流星群だった。 「お、そうだな。確か今日の夜だぞ。またどこか出かけるのか?」 「うん!!約束してるからね!」 「気をつけて行ってこいよ?てかそろそろ誰と見てるか父さんに教えてくれよ?」 「ふふーん。内緒だよー!!」 そうだ。俺はこのラルフ流星群をある女の子と一緒に毎年見るのが楽しみだった。 その女の子はとても不思議な子で初めて会ったのが小学生1年の頃だった。
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