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ラルフ流星群の奇跡
電車に揺られること6時間
本当に久しぶりにおばあちゃん住んでた田舎にやってきた。
所々記憶と違う部分もあったが大半はあの時のままだった。
記憶を便りにおばあちゃんの家に向かう。
歩くこと15分。思い出の詰まった場所におばあちゃんの家はまだあった。
あの日から誰も住んでいなく手入れもされていなかった家は草木が生い茂り少しガタがきているようだった。
8月8日13時
ラルフ流星群が見れる唯一の日だ。
夜まで時間はあるが久しぶりに来たんだから少し散策しよう。
まずは川にやってきた。とても澄んだ水で魚が泳いでいるのがすぐにわかる。
水面はキラキラしており少し口に含むと心地よい冷たさが喉を通る。
(ここで魚釣りしたんだな。)
親父との思い出が蘇る。
次に山に入った。周りの木々からはセミの鳴き声が木霊している。
ふと見上げると大きなクワガタがいた。
「罠を仕掛けて朝採りに来たっけ…」
まだ薄暗い早朝に親父に起こされてバナナトラップを仕掛けた木を見に行ったなぁ。
「そろそろ戻るか。」
時計を見ると16時を指していた。
役所に理由を話したら今日はおばあちゃんの家に泊まっていいと言われた。
流石にそのままでは寝れないからとこの散策の時間中に掃除をしておいてくれると言われた。
流石に悪いと断ったがこの辺りではおばあちゃんの日頃の行いで助けられた人が沢山いたようで恩返しになればと言われた。
そんな気遣いを無下に出来るはずもなく素直にお願いしたのだ。
「ありがとうございました。」
家に戻ると中は綺麗になっており布団も一式置かれていた。
最後までニコニコして帰っていった役所の方や地元の方には本当に感謝だ。
一緒に置いていってくれた弁当を食べて夜に備える。
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