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頭上を駆け巡る流星群
その綺麗さに言葉も出ない。
隣にはお姉ちゃんがいる。俺はこの日を1年で一番大切だったんだ。
「お姉ちゃん。」
呼びかけると振り向いてくれる。
その瞳はどうしたの?と聞いてくれているようだ。
「俺さ・・・迷ってたんだ。今のままでいいのかなって。」
都会で働き出して5年。ただ仕事に生きるだけの自分に疑問をずっと感じていた。
「やりたかったのは本当にこれなのかなって。」
ここに来て気持ちが固まった
「俺この土地で暮らすよ。お姉ちゃんとの思い出の場所。おばあちゃんとの思い出の場所。」
一つ一つ大事にしたい大切な思い出
「そんな思い出の場所を守りたいんだ。」
お姉ちゃんを見るとふと微笑んだ。
「そう。もう大丈夫ね?」
「え?」
大丈夫ってどういう事だ?
そう思った瞬間少しずつだがお姉ちゃんの姿が透けてきた。
「まって!お姉ちゃん!?」
「ここに来た時は泣き虫で心配になった。さっきまでは本当に疲れた顔をしていた。けど今の表情を見たら安心した・・・」
お姉ちゃんが消えようとしている。
「行かないでよ!!」
「泣かないで。私はこの世にいてはいけない存在。ただ一つあなたが心配だった。でも強くなったあなたを見てその心配もなくなったわ。」
「お姉ちゃん・・・」
涙で前が見えない。
「私はあなたのお姉ちゃんで幸せだったよ?だからね笑顔でさよならしましょう。」
笑えるわけないじゃないか…やっと会えたのに。
もうお別れなんてそんなの嫌だ!!
そんなことを願ってもお姉ちゃんの姿はどんどん消えていく。キラキラとした粒子が夜空に舞い上がっていく。
お別れの時はすぐそこまで来ていた
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