夏の記憶

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夏の記憶

「おーい。これから飲みに行くけどお前もどうだ?」 斜め前で仕事を終わらした同期のひとりが周りに3.4人引き連れて飲み会に誘ってきた。 「うーん。まだ仕事残ってるから今日はいいや。」 「そっか・・・じゃあまたな。そこそこにしとかないと体調崩すぞ?」 「終わらせないと明日の自分が死んじまうからな。」 俺は嫌味を込めながら手を振った。 同期とその他は扉から出ていき部屋には俺ひとりになった。 時計を見ると21時30分。今日も今日とてサービス残業に勤しんでいる。 「はぁ・・・こんなことするために入ったんじゃなかったんだがな…」 ため息混じりに目の前のお茶を飲み一息つく。 関西に出てきて5年。高卒でこの会社に入った俺は23歳になった年そこそこ責任あるポジションについた。 最初は認められた嬉しさが大きかったが月日が進むにつれて割の合わない仕事量と休みのない毎日にうんざりしていた。 「転職も考えるか・・・でも今のご時世そんな簡単に決まらないよなぁ。」 不景気の真っ只中。試験に落ち続けようやく入れたのがこの真っ黒な会社だった。 (あれ?やばい急に眠気が・・・) ふと来た眠気に全く抵抗できず意識を手放した。
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