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Butterfly≠Knifeでギタリストとして、拾ってくれた翼に感謝をした。 以前から関谷には翼の人間性を力説をされていて正直鬱陶しいと思っていたが、大毅よりも男気があって、間違っていることはきちんとその場で指摘をしてくれたり、良いところは褒めてくれたりと、改めて翼は凄い奴だと暁美と話をしていた。 信治が住んでいたマンションは東京に近い千葉県で、たまにサーフィンをするため関谷と結羽菜(ゆうな)の住む千葉県の房総半島の市にも遊びに行ったりしていた。 信治はバンドが休みの日は、他のミュージシャンのサポートミュージシャンとして活動をし、たまに関谷と二人で覆面バンド・ズームイン!というデジタル機器を多用した音楽で活躍し、世の中をバッサリ切った歌を面白可笑しくラップにのせて歌っていたり、支離滅裂な歌詞を歌ったりしていて中々コアなファンがいた。 それぞれの名前を関谷はトムで信治はジンとして活動をしていて、CD化やライブもする予定は全く無く、完全に趣味でお遊びバンドだったため顔写真ではなくて、漫画家の相馬暁史(そうまあきふみ)先生にお願いをして描いてもらった二人の似顔絵をSNSのプロフィール画像にしていた。 ちなみに関谷が大好きな漫画家で、ギャンブルはしないものの相馬の作品を読んでいて、ダメ元でダイレクトメールで似顔絵を描いて欲しいとお願いをしたら、すんなりOKしてくれて関谷は喜んだ。 動画のアニメーションは、同じく漫画家の天野辰夫(あまのたつお)先生に依頼をすると、これまたすんなりOKをしてくれたため、天野作品の大ファンだった信治は喜んだ。 明日は完全なオフなため、久々に遅くまでズームイン!の曲を編集し終え、動画サイトにアップをしようかと思っていると、無料通話アプリの着信音が鳴った。 「はいは〜い、しんちゃんよ♡」と言い電話に出ると関谷からで、しばらく神奈川県の西湘にいるということを告げられた。 どうやらいなくなってしまっていた大毅の子どもの京一から連絡があり、京一が小学校を卒業をするまでの間はそこのアパートで暮らすということだった。 「そっかぁ…また見つかって、良かったな♪わかったよ。じゃあ引っ越しのお手伝いと、お祝いにケーキでも買っていくね」と言い、信治は嬉しそうに微笑んだ。 だいぶ方言も出なくなり、普通に会話が出来るようにはなってきたものの、長年オネエ口調で来てしまったこともありオネエ口調がポロッと出てしまうことがたまにあった。 普段は声が低くて、イケボと呼ばれているほど低い声だった。 神奈川だなんて、BLOOD×BLOODで活動をして以来行っていなかったし、西湘方面はほぼ初めてだった。 住所を聞きながらパソコンで大まかなルートを確認をし、明日会う約束をして電話を切った。 そう言えば、そっちも海があったし海沿いドライブも楽しそうだなと思い、ワクワクしていた。 信治は引越し業者で働いていたこともあり、すぐにわかったものの一応確認のために今一度ルートを確認しながら、スティックサラダを食べていた。 中でもプチトマトが大好きで、前に関谷と結羽菜がまだ悠輔だった頃に、三人でプチトマト詰め放題ツアーたるバスツアーへと行ってきたほど、大好物だった。 雑誌のインタビューでも「自分の身体の成分はプチトマトで出来ているわよ♡」と言うほどで、翼が「だから髪が赤いのか(笑)つかトマトじゃねぇンだ?」と笑うほどだった。 プチトマトを頬張りながら、ズームイン!の新曲・腐ったバナナ野郎を編集していた。 歌っているのは関谷だが、関谷が「音痴だから、恥ずかしい」と言ってきたからデジタルの声や音と被せていたが、翼や結羽菜とかから「歌は凄く上手いのに、勿体ない」と言われたり、ファンからも『たまにトムさんの地声が小さく入っているけれど、上手いw』などと高評価だったが、それでも関谷は「恥ずかしい」と言い、デジタル音に被せることを希望していたが、あえてわざと被せなかったりした。 この腐ったバナナ野郎は痛烈に避妊をしない男性に対して批判をしているラップで、それを逆さ言葉で再生したラップを流し、デジタルロックをバックで流しているといった曲にした。 完成し、SNSのズームイン!のアカウントに『近日公開のお知らせよ♡ぜひ聴いてね♪』と書いて、動画サイトのURLを載せてから眠りについた。
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