【1】

3/5

18人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
次の日、信治は目覚ましアラームより早くに目が覚め、シャワーを浴びながら歯を磨いていた。 BLOOD×BLOOD時代から髪を赤にしていて、たまには違う色にしたいなぁと思いながら髪の毛を乾かしていた。 一度黒にしたことがあり、中々の好評だったが黒じゃありきたりだよなぁと思いながら、結局赤が一番だと行き着いた。 車に乗り、ナビで聞いた住所を入力をしてから向かった。 車内の音楽は、異国のパンクロックをランダムに掛けていた。 1時間50分で到着をし、近くのコインパーキングで車を停めてからファミリーレストランで朝食を食べながら、関谷に無料通話アプリで『着いたよ♪』とメッセージを送信し、ケーキ屋を検索していると『お疲れ様。ありがとうね。あとでお礼をさせてな』と返信が来て、朝食を食べ終えるとファミリーレストランを後にした。 途中にあったケーキ屋で、ケーキを購入してから家へと向かった。 家といってもアパートで、もう一つ部屋を借りてそこを事務所としてしばらく使うという話を関谷としていると、関谷の後ろから法子が顔を覗かせていて、信治と目が合うと慌てて目を逸らされた。 やっぱり見た目が怖いからだと思っていると「のんこ、信治さんだよ。父ちゃんと同じバンドにいた人だよ」と京一が教えると「しん‥じおいちゃん?」と言い、法子は信治の顔をまじまじと見つめてきた。 何となくその顔は大毅に似ていて、信治がドキッとしていると「信治おいちゃん…」と言い、法子は指を咥えながら京一の後ろに隠れたが「法子ちゃん、お久しぶり♪あのとき、落ち葉をくれてありがとう。しんちゃんって、呼んでくれよ?」と言い、信治は優しく微笑みながら右手を差し伸べると「うん♪しんちゃん、仲良くしようね?」と言い、法子は笑顔で握手をした。 それから法子は、信治が帰るまでべったりと甘えたりしていて「人見知りが凄い法子ちゃんに、一瞬にして好かれるだなんて凄すぎだろ…」と関谷と京一が呆気に取られていたが、信治はごく普通に対応をしていただけだと言い苦笑をした。 それから法子は、ことあるごとに「しんちゃんは?」と言ってくるようになり、信治は仕事やバンドがない日はほとんど毎日来てくれた。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加