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すると、そこにはよく見る隕石とは程遠い、柔らかそうな女の子のようなモノが膝を抱えて俯いていた。
「……なんか……蹲ってる女の子に見えるんだけど。」
「宇宙は広いんだ、そんな形の隕石だってあるだろ。」
その柔らかそうな隕石は曲げた膝をゆっくりと伸ばす。
「立ち上がろうとしているみたいなんだけど。」
「宇宙はどんどん広がっているんだ、そんな性質の隕石だってあるだろ。」
立ち上がった隕石は、今まで伏せていたその顔を俺に向けた。
「すんげー可愛いんだけど!!!!!」
「宇宙なんだ、そんなラブリーな隕石だってあるだろ、多分。」
俺の言葉を理解したのか、落ち着き払っていた隕石の表情は突然慌てふためいたような表情をみせる。
「メッチャあわてて顔を赤くして、照れながらこっち見てるよね?ね?」
「恋する隕石だってあるだろ。もう何でもいいだろ。」
次第に俺の胸や頭の脈動が強くなっていくのを感じる。
「俺、すっげードキドキしてる……。」
「傷口から血がドクドクしてるだけだな。」
隕石を見つめる俺の視界はどんどん狭くなる。これが恋は盲目というやつか?
「もう、彼隕石しか見えない……。」
「頭の血が目にも入ってんぞ。」
徐々に隕石の可愛い顔が白い光に照らされてゆく。と同時に、俺の体はふわふわと風に揺られるような心地だ。
「うへぇ、天にも昇る気持ちだぁ……。」
「そろそろ貧血だろ、早く止血しろよ。」
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