伝染

8/9
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
そして最後には笑い話で電話を終えた。 これから一人暮らしするのに、恐ろしい話を聞いてしまった。 しかし、誰の情報かもわからないし、作り話の可能性だってある。 あまり、考えないことにした。 すっかり目が覚めたので、この時間にアパート探しをすることにした。 運悪くも大学はあの事件が起きたという〇〇市にある。 「嫌だなぁ…」 事故物件かどうか調べてから引っ越せば大丈夫だろう。 とりあえず安くて敷金礼金がない所を探してみよう。 「えっ! 安くて綺麗」 築45年の木造建築でそれなりに古いが、部屋だけはやたらと綺麗なアパートを見つけた。 家賃も安い、敷金礼金なし。ささやかだが家具もついている。 喜びながら人差し指で端末画面を滑らせる。1人で住むには勿体ない広さだ。外見はともかく中身が良いなら文句はない。 もう住まない理由がない。早いうちに不動産屋へ連絡して契約を結ぼう、そう思った時だった。 和室の画像で指先を滑らせたら、ふいに押し入れが映った。 押し入れは隙間が開いていて その隙間から一瞬 人影のようなものが見えた。 小さな 女の子だった。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!