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「宏人さん、なっちゃん!お帰り!」 「・・・みんな、ただいま」 僕が作った、《ひまわり会》のみんなが、出迎えてくれた。 「宏人さんたちが、大学に入学したら、授業の間、僕らはどこにいればいいですか?」 「みんな、.安心して?小屋を立ててもらおうと思うんだ。そこで、みんなは練習していてくれればいいよ」 「でも、宏人・・・小屋を立てるなんてお金掛かるわよ?」 「大丈夫。もう手配済みだし。そのことは、聞かれると思ってた」 僕にはもう、時間がない。 だからさっき、ある人にお願いをしておいたんだ。 僕の夢・・・・・。 これだけは、叶えたいんだ。 「宏人?」 なっちゃんに感づかれただろうか? 「えっ?なに?」 「宏人は、本当に段取りが早いわね。羨ましいわ」 「ほんとですね」 「そうかな?そうでもないよ?」 「でも、ひとつだけ遅いことあるかもね」 正也さん・・・・ 彼は、春日部正也って言うんだけど・・・・ 彼は、僕となっちゃんの肩に手を置いて・・・・ 「二人は、付き合ってるんですよね?結婚とかしないんですか?もしかして、大学卒業してからとか?」 「・・たぶん、そうなるね」 「えぇ、まだ未成年だし。まだ、考えてないわよ・・・。お互い。」 「いいよな!若いって!」 「二人が、結婚するなら、手作りがいいですね」 そんな手話を話すのは、榊裕平さん。 「僕たちで、手作りの結婚式を挙げます! と言っても・・・僕は、なにもできないかもしれませんが・・・」 「そんなことないよ。君にはウェディングマーチを弾いてもらうかもね。」 「はい!ぜひ!」 今、話してくれたのは、東大地さん。 3人は、僕の大事なひまわり会仲間だ。 「みんな、ありがとう。」 「みんな、気が早いわよ?気持ちは、とてもうれしいけど。私たち、まだ、付き合って1年も経たないのよ?」 「だって、お似合いだもん!二人には、幸せになってもらいたい。結婚するときは、言ってくださいね!僕たち、最高のおもてなしをしますから!」 そうニコニコと言ってくれたのは、斎藤一樹さん。 彼も大事な仲間。 この4人と、なっちゃんに囲まれて僕は、この毎日を過ごしてきた。 こんな日々がいつかなくなってしまうなんて・・・・。 今は、考えちゃダメだよね? 「・・・宏人?」 「あっ、ごめん、ごめん。ちょっと考え事してた。 受験も、終わったことだし、やっと練習に専念できる!」 「宏人ってば、さっき医者に言われたんでしょ?疲れやすいから休むことも必要だって。体力落ちたんだから、休んだら?」 「大丈夫!いま、すごく調子がいいから!」 そして僕は、ふと思った。 どうしても、友達になりたい人がいたんだった。 。 同じ高校だった人・・・。 今日の朝、噂をされてた彼・・・。 《西田君》が、その人ににていたこと。 確か、名字も一緒だった。 とてもよく似ていた。 あのときは、ちゃんと見ていなかったけれど・・・・。 彼は、途中から、高校にこなくなったこと。 でも、どうやってセンター試験を受けたんだろう? 夜間の学校にでも通っていたのだろうか? 僕は、その彼に会いたいと思ってた。 「僕の夢・・・・。」 そう呟いてしまっていた。 「えっ?なに?」 「ううん。なんでもないよ?さぁ、練習練習!」 まさか本当にあの彼が、西田君だと気づかなかったんだ。
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