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数日が経ち、八月一日となった。
守は、朝ギリギリまで眠り二十分で支度をするとニュースも、はたまたスマホを見る時間もなく電車に飛び込み会社へと向かった。
「休みになるってよ五日と六日……」
「え? どこがですか?」
「うちの会社だよ。もしかしたら一生休みかもな」
とうとう、上司が冗談を言うようになった。
それとも、本当にこの会社に休暇が?
守が舞い上がっていると、ゾンビ上司は気持ちの悪い珍獣でも見るような怪訝な顔で守を捉えた。
「もしかして、ニュース見てないのか? これを見ろ」
そこには、
『八月七日、人類滅亡か』
と書かれた見出し。守は一瞬不安になるも、どうせ誰かの悪戯だろうと話半分に記事を覗いた。
「は? 隕石?」
「予測では、かなり大きいらしいぞ。まあ、この会社を休みにさせるくらいだからな。恐竜を絶滅させたのと同規模らしい」
「な、そんなことって」
「俺もありえねーと思ったけど、ほんとらしい」
守の頭は状況を理解するのに精一杯。いや、それすらもままならず茫然としていた。
顔色最悪の上司、ビルのように積み重なり今にも崩れそうな書類も見納めだなんて到底信じられなかった。
「どうしたらいいんだ……」
心の底からの本音を思わず零す。
あと数日で死ぬ者ができること、したいことなんてもちろんすぐには浮かばなかった。
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