落夏星

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守は列車に揺られながら、懐かしい景色を複雑な気持ちで眺めていた。隕石が落ちるのは奇しくも八月七日の夜中だという。もうすぐ隕石が落ちて皆死んでしまうなんて信じられないほどのどかな風景。 「七日は、神社にいこうかな」 守は、ちょうど今年で死後十年になる天彦おじいさんのことを思い出す。まるで仙人のように俗世からかけはなれた人だった。 天彦おじいさんがいなくなった今、神社は誰が管理しているのだろう。少しの寂しさと恐怖が混ざり合い溶けて守の心に染み付いた。 「おかえりー、食べたいものとかあるかい?」 久しぶりに、再会した母は少し疲れているようだった。部屋を覗くとすっきりと片付いていて、必要な家具以外すべてなくなっていた。 「これ、母さんが全部やったの?」 「どうせなら綺麗な方がいいと思ってね」 数年前、父を亡くした守の実家にいるのは母のみ。仏壇の父の遺影に向かって手を合わせると、もうすぐそっちへ行きますなんて縁起でもないことを考えてしまった。 「七日は、神社にいくよ」 「私も菊ちゃんのとこに行くかな」 菊ちゃんは母の幼馴染だ。自分が神社に行っては、母が一人になるのではと心配していた守は密かに安心した。
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