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堀内の後を追うとベージュの平屋があった。縁側に年老いた女性が見たことのない柄のセーターを着て腰掛けている。狭い歩道から顔を覗かせて堀内はカメラを構えていた。 「これ何なの…。人いないじゃん。」 ここに来るまで村の住民と誰1人すれ違っていない。人形だけが置かれている村、遠くから聞こえた2つの足音が岸と松田のものであるということはすぐに分かった。 「ねぇ、ここ変だよ。人だと思ったらよくできた人形なの。」 用を足した岸は落ち着きを取り戻して言った。170cmという高長身であるために松田が幼子のように見える。少し高い鼻筋に薄い唇が目を刺すほどの濃いピンクに染まっていた。白いスカートの裾をたなびかせて言う。 「怖くない?なんか不気味じゃん。」 確かに松田の言う通りだった。明らかに人が住んでいるであろう村という場所に、精巧に作られた人形しかいないのだ。人はどこに行ったのか。そしてこの人形を作ったのは誰なのか。それでも久保田は心の奥底で滾る感情を抑えられなかった。おそらく隣に立つ斎藤も同じだろう。 「探検、しちゃいますか。」 「だな。一、いい感じの人形あったら撮っとけよ。」 反抗する女性陣を置いて、久保田と斎藤は道の先を歩いていった。
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