Wish~共に生きる未来~

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「……あ」  と、小さく口を開けながら驚いた顔でこちらを見つめているのは中学生ぐらいの男の子だ。  その反応から、どこかで会ったことがあっただろうか。と、考えながら暫く見つめ合っていると見開かれていた切れ長の瞳がゆっくりと優しく細められた。 「こんばんは」 「こ、こんばんは」  澄んだ声につられて挨拶をする私に、男の子は自分の柔らかな黒髪をくしゃりと掴むとどこか照れ臭そうに微笑む。 「少しお話しませんか?」 「……え」  ……お話?    突然の展開に、戸惑いながらその姿を眺める。  萌黄色のブレザーにグレーのスラックスという出で立ちは、確か近所の中学校の制服だ。  ……まさか、ナンパ?  しかし明らかに身重の私をナンパするとは思えないし、くしゃりとした笑顔は人の良さを醸し出していた。
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