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「共生! 危ないだろ!」
「だって、お母しゃんが」
「お母さんは、こっちだろ?」
と、四歳になった我が子の小さな手を握る。
最初は壊してしまいそうで怖かったけれど、今はもう自然と触れ合うこともできる。
「ほら。お母さんに挨拶」
「お母しゃん。共生だよ」
と、墓石に手を振る姿が微笑ましい。
「お父しゃん」
「ん?」
自然と返事をする自分に、あいつの言っていたことは本当だったと思う。
__お父さん。
初めてそう呼ばれた日から、気づけば俺は父親になっていた。
確かに努力もしたけれど、この胸の中には共生への愛しい気持ちだけが柔らかく広がっている。
幼い頃から、父親に暴力を振るわれていた俺は「普通の父親」を知らない。
だから、自分が父親になれるなんて思ってもいなかった。
第一妻にも暴力を振るって、今考えると最低な人間だった俺をあいつと共生が変えてくれたんだ。
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