#2

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「夕飯はカレーでいいですか?」 「う、うん」 ロイのいる生活に段々と慣れていく。 いや、慣れたと言ってもまだほんの30パーセントくらいで この非現実はなかなか夢心地であった。 今日は平日の朝、彼女は玄関までしっかり俺を見送って口角を上げる。 ぎこちない笑顔がなんとも愛くるしいと思った。 どう見ても彼女は人間そのものだった。 アンドロイドだなんて嘘なんじゃないかと思うほど。 感情すらあるように感じる 否、あるのだろう。 人間と決定的に違う所はどこかと問われれば、子孫を残せないことくらいだろうか。 「いってらっしゃい」 「いってきます」 まだこの温かさに複雑な感情と むず痒さを感じながらも 父の倉庫で出会ったあの日から段々と 俺は彼女に惹かれていた。 救われていたんだ。 彼女をひとり家に残し、俺は学校と就活とバイトを並立させる。 大変じゃないと言ったら嘘になるけれど どれも自分ひとりでは不可能だったことで ロイには感謝してもしきれない思いでいっぱいだった。 これも父親の目論見なのだろうか。 そんなことを思えば父親に会いたくなって 咄嗟にロイのことを頭に浮かべた。 1日頑張ればロイの手料理が待っている ロイの手料理はいつも美味しくて、毎食満足させてくれるのである。 そう わくわくを募らせれば、多忙な日常にも幸せを見つけられ、胸がいっぱいになる。 どん底の果てに堕ちていた自分を救ってくれたロイは俺の希望でしかなかった。 彼女がアンドロイドだなんて事実、忘れてつつあった。 ただ今は先程離れたばかりの彼女に会いたくてたまらなかった。 彼女は自分をどのように思っているんだろう なんて、今度聞いてみるのもいいかもしれない
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