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「いただきます」
2人、父の作った桧の机に向かい合い、カレーを口に運ぶ。
「んーしー!」
「それは良かったです」
それは一日の疲れが吹っ飛んでしまうほど、心に染みるものだった。
そう言えばロイは食べたものはどこへ行くんだろう。
いや、そんなのはどうでもいいや。
少しの好奇心はぽいと飛ばして目の前のご褒美を頬張る。
「隠し味は愛です」
だなんて冗談を彼女が言うもんだから、暖かくて優しくて涙が溢れそうになった。
人は悲しみよりも愛しさで涙するのかもしれない
…なんて思った。
少しの沈黙を経て、口を開く。
「なあロイ、親父に会いに行ってくれない?」
「是非、行きたいです」
突然の提案にもかかわらず彼女はとても嬉しそうに笑ってくれた。
父はロイを見たらなんて言うだろうか
待ちわびていた時が来たと笑ってくれるだろうか。
鼓動が早くなった。
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