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「ロイ、今日帰るまでに合格かどうかわかるんだ。そしたら、美味しいものでも食べに行こうよ」 「自信満々ですね」 ロイはにやとり笑って俺の背中を押してくれた。 ロイの存在のおかげもあり、長期戦に耐え抜いた俺は就活に一区切りつけていた。 「行ってきます」 「行ってらっしゃい」 もうこのやりとりもなんだか新婚さんみたいだな なんて浮かれながら家を出る。 やっと就職の内定を貰って、安定した収入を得て そうしてロイと、幸せに暮らせたら そんな幸せなことはない にやにやと口角を上げ 胸を弾ませ卒論のために学校へ向かう ・・・ ケーキを買った 艶やかないちごの乗ったショートケーキふたつ。 自信通り内定を決め、軽やかな足取りで家路を歩く。 カチャカチャと あかりの灯る我が家の鍵をひねる。 ドアを開ければ、ただいまよりも先に ロイの姿が目に飛び込んでくる。 「ロイ!?」 床に倒れたロイの姿 手に持つケーキもカバンも放り出して駆け寄る 「ロイ!ロイ!!」 ゆらゆらと彼女を揺すっても、彼女は電池が切れたようにビクともしなかった。 冷や汗と動悸が止まらない どうしようどうしよう 彼女のおでこのROYの文字が赤く点滅している。 エラー そうだ彼女は 人間じゃない 「ロイ!頼むよ起きてくれよ!俺はお前しか居ないんだよ…!」 その声に、ガシャガシャとロボットのような音をたてて彼女が動いた。 「ロイ!!どうしたんだよ!!」 「幸せ…でしたか?」 ゆっくりと、人間のようには滑らかに動かない口が語る。 「幸せだよ ロイが居てくれたから これからもロイがいてくれたら俺は幸せだよ」 「私も幸せでしタ」 声が、アンドロイド特有のビリビリとした複雑音を交え始める。 「ひとりにすんなよ…!!」 「ひとリ…じゃナイ」 透明の雫がロイの頬にこぼれ落ちる 俺、泣いてる 「ソバニ…イル…カラ」 目の前のロボットはガタガタと音を立てはじめた。 「アイシテイマス」 「ロイ!!!!」 プシュー… 空気の抜けるような まるで電車の発車音のような音を立て ロイは 止まってしまった 壊れてしまった
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