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バオロンの意外な申し出に訝しく思いながらホルスターに入れたシグザウエルP226を取り出し弾倉の確認をし終わるとホルスターに戻し、声を掛けた。
「人の妻を攫ってなんの用だ?」
「その小鳥を俺にくれないか?」
陽明は車の影から立ち上がり、バオロンの前に姿を見せる。
タワーマンションの地下駐車場は人気も無く、むき出しのコンクリート、最低限の明かりが灯り、通気口のモーター音が低く聞こえた。
老華僑の王陽明と玄武の暴龍が二人きりで対峙している。
「何故、千鶴を欲しがる。千鶴はモノではない。欲しいからと言ってあげられるものではない」
「そう、小鳥は好きな所へ飛んで行ける。例えば俺の所」
バオロンが、ニヤリと笑う。
「千鶴はお前の所に行かない」
「試してみるか?」
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