始め半分

2/2
874人が本棚に入れています
本棚に追加
/299ページ
横浜みなとみらい地区から少しずれた私の町は、 かつてバンドホテルという老舗のホテルがあったらしい。 今は、有名量販店に建て替えられ、ずいぶん賑やかな佇まい。 その量販店よりさらに奥、運河と古い昭和の街並み。 母親が経営するスナックの2階が私の家。 直ぐそばの国道は、大型トラックがコンテナを積んで往来し、騒音も激しい。 上を見上げると首都高速道路。 そんな町で私は育った。 自転車に乗って、10分走る。 中華街の雑貨屋でバイトした後は定時制高校で勉強。 その後、学校の友達とご飯に行くこともあれば、どこかに遊びに行くこともある。 その時が楽しければいい。 目標もなんてない、なるようにしかならないのだから それでもいつか幸せになりたいと思っていた。 シンデレラのような、おとぎ話は信じていないけれど、いつか幸せになれる日が訪れるかもしれない。
/299ページ

最初のコメントを投稿しよう!