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「ちずるぅ、ちずるぅ」
「うーん。後5分」
「うん、もうっ! 」ビタンッ。
聖子は、千鶴のおでこを叩いた。
「イッタァ……」
あまりの衝撃におでこを擦りながら起きた千鶴に聖子は頬を膨らませて睨み付けた。
「あれ!?ここは?ホテルの部屋?なんで?? 」
ベットの上でキョロキョロと周りを見回す千鶴に聖子が、
「もう、ちずるぅ、ひどぉい。今日は、聖子の話を聞いてくれるんじゃなかったのぉ?それなのにぃ、お酒飲んで急に寝ちゃうからイェンさんにも迷惑かけちゃったし、せっかくの豪華なお料理もゆっくり食べられないし、ちづるのばかぁ」
「ああ、そうだった。バオロンの返杯に挑んで、お猪口一杯だったのに、思いの他日本酒が効いちゃったんだよね。で、その後の記憶がナイッ。えっ!一体何やったんだっけ?
なんで、ベッドの上にいるの?
あの~。なんで、私は、ベッドの上で眠っていたのか?教えて頂けませんか? 」
千鶴は、上目使いに聖子を見た。
「ちづるぅ。ご飯食べている途中で急に寝ちゃったんだよぉ。それでー。イェンさんがごはん屋さんからココまで運んでくれたのぉ。ごはんの残りもさっきホテルの人が届てくれたぁ」
「あ~!やらかしたぁ!やってしまった!バオロンを目の前にして、何たる失態そして、敵に塩を送られるとは何という事を! 」
ベッドの上で悶絶する千鶴に聖子が留めの一言。
「イェンさんに介抱してもらったんだよ」
「えっ!えぇぇぇっ! 」
「お姫様だっこでぇ。ココまで運んでくれてぇ。ちづるにぃ、お水飲ませてくれたぁ。いい人だったねぇ。イェンさん」
「ヤバイ、これは、やってしまったどころではない。なんという大失態。バオロンに介抱してもらっていたなんて、恥ずかしいアーンド悔しい。そうだ、お酒で負けたんだ。私は、バオロンとの勝負に負けたんだ! 」
千鶴は、ガクーッと、首をうなだれた。
「あれ?千鶴ぅ。虫にでも刺されたのぉ?首の所が、赤くなっているよぉ」
「えっ⁉ 」
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