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「千鶴が攫われた」
陽明は、忌々し気に口にした。
急いで、空きスペースでUターンをし、バオロンの車を追いかける。
バオロンの車は、海岸通りを抜け桜木町駅を通り過ぎ、横浜駅東口方面へと進む。
つかず離れずの距離を保ち跡を追う。
金港町を右に折れポートサイド地区に入った。
横浜駅東口のポートサイド地区は、近年再開発され、新しいマンションが建ち並び、MM21地区の夜景も一望出来るスポットだ。
その一角にあるタワマンの駐車場にバオロンの車が滑り込んだ。
マンション駐車場には、開閉バーの代わりに金属のチェーンが昇降するタイプで住居者のみ機械が渡され反応で自動開閉するモノが付いていた。
バオロンの車を吸い込みチェーンが道を塞ぐ。
万事休す
苛立たしげにハンドルを叩き、車を脇に停め、シート下からケースに入った、シグザウエルP226を取り出しホルスターを装着した。
車から降り立ち、駐車場入り口のチェーンを飛び越え駐車場内に侵入。防犯カメラの影になるような場所を選び徐々に内部に足を進めた。身を低く保ち、駐車している車に身を隠しながら奥へ行く。
” バタン ”
車のドアが閉まる音が聞こえた。
「Hi, Mr,王 小鳥を迎えに来ているのだろう?出て来て話をしないか 」
暴龍の声が響いた。
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