1.腹黒男子

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1.腹黒男子

大学入学当初から仲良しの二人、万理華と徹は、親友以上恋人未満の関係で、万理華の方は抱き着くなどのスキンシップ多め。徹はどうしても恥ずかしさがぬぐえず、スキンシップに応じはしないが、されるがまま。たまにドキドキしながら抱き返したりすると、万理華の方も、体はなんだかんだ言っても男らしいな、などと意識してしまう節がある。徹は万理華のことが好きなので、無意識に周りに牽制とかしちゃってる系男子である。万理華は男キモイ!話すのも嫌!!と内心で思いつつ、普段は誰にでも愛想よくしているが、猫がはがれると友達以外には毒舌ないたって普通な女の子。 徹は、万理華のことを好きだというクラスメイトから、 「本当はお前ら付き合ってないんだろ?俺があいつと付き合ったら今みたいなことすんなよ。」 と謎な牽制をされ、心の中は真っ黒だが、穏やかに 「お前みたいな万理華に認知されてないような奴よりは俺のが大事に思われてるよ。捕らぬ狸の皮算用って言葉知ってる?」 と煽り返す。 その日から数日がたち、徹はクラスメイトAに啖呵切ったはいいものの、ずっとそわそわしていた。それでも、万理華の態度が変わったということはなかったので、二人で飲んでいるときに切り出す。 「最近なんかなかった?」 「えっ…なんかってなによ。」 「告白された…みたいなこと。」 「よく知ってるね!されたわ~眉毛薄いくらいの感想しか持ってなかった男子に。あいつもう噂でも作ってんのかよ、しばきまわしたい。」 「…いつくらい?」 「えーっと、結構前?二週間は前だと思う。」 「はぁ!?まじか…うっわだまされたわ。」 「なになに!?もう付き合ってる敵な噂流れてるの!?」 「ちがうけど…うわぁ俺格好悪…くっそ…」 「…??どういうこと??」 「こうなったら腹くくった方がよさそうだな。なぁ、今好きなやつもしくは付き合ってるやつっているの?」 「誰が?わたし??」 「万理華しかこの場にいないだろ。」 「だって、そっちのが私のこと知ってんでしょw休日もほぼあんたと遊んでるのにどうやって彼氏できんのよ…募集中だわこの野郎。あと、恋愛的な意味での好きってのもよくわかんないから、いないと思う。」 「俺、お前のこと好き…なんだわ。」 「ん?…私も好きだけど?」 「だから、お前のこと恋愛的に好き。いつから、とかよくわかんないけど、絶対ほかのやつにとられたくない。」 「えぇぇぇぇ!?まじ…まじか!?なんでまた私なんかに…」 「なんか、じゃない。こんなに自然に接することができてうれしいってのが、初めの感情だったんだけど、なんか最近かわいいし、ほかのやつとも仲良さそうなのむかついたときにあれって思ったんだ。」 「何かの冗談ではござらんでしょうか?」 「残念ながらござりませんね…」 見る見る間に顔を赤くする万理華に、やっと自覚したかとほくそ笑む徹。 「付き合ってくださいって言って答えをもらえそうじゃないな。」 「そんなの無理だよぉ…」 手で顔を覆い隠す万理華が弱弱しい声を出す。はじめは驚いてだけだったが、どうも自覚してからは男の顔が見れなれないくらい恥ずかしくなってしまったらしい。 「明日から避けるとかなしな。嫌いになったとか理由がない限りイタ電するし、女子トイレ以外の場所になら執拗に追い掛け回すから。」 「でもっ…それはいやだなぁ…」 「ゆっくり俺のこと好きになって。ほかに目移りさせないから。」 「いきなり男だしてんじゃねーよ…うぅ…吐きそうになってきた…」 「おっとトイレまで追い掛け回すことになりそうですか?w」 「お前が元凶だわ!!!やだ…春ってこんな感じで来るのね…」 「これからも末永くよろしくな。」 「………うん」
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